のちのおもひに(2019)

「夢は そのさきには もうゆかない

なにもかも 忘れ果てようとおもひ

忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには」

 

詩集を読んでいた時、この文章が心に刺さった。何かあるごとに、自分に言い聞かせる文章の一つとなっているほどだ。

 

「のちのおもひに」も言葉一つ一つが美しく、儚い。心に投げかけてくるこの詩に音を当てはめていく作業は、思いのほか時間がかかった。しかし自分の心の中に深く刻まれた一曲となった。

 

ソプラノとテナーサックスとピアノ。この編成では数年前にオリジナル作品を書いたが、その作品ではソプラノは全編ヴォカリーズ(歌詞はなく、母音でのみ歌われる)だった。今回は歌詞付きということで、どのような絡みが見せられるか私自身も楽しみである。