値ひがたき智恵子(2019)

智恵子は、『智恵子抄』の筆者であり、夫である高村幸太郎よりも早く亡くなった。

「値ひがたき智恵子」は亡くなったあとの詩だ。それなのになぜデュエットにしたのか。

 

この作品はテノールを高村幸太郎、ソプラノは智恵子を表現している。したがって、2人は存在している世界が違う。(高村幸太郎は現実、智恵子はあの世....?)

そのため、智恵子が発している歌は光太郎には聞こえていない。もちろん光太郎が発したものも智恵子には聞こえていない。

でも時に同じメロディを歌う(ハモっている箇所)のは、それだけ2人が同じ世界にいたときから繋がっていたからだ、今はたとえ違う世界にいても。

 

そんなことを思いながらお聞きいただけると嬉しい。